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サブカルチャー評論/レビュー/日常

そもそも分子ってどんな形なんですか?『有機化学美術館へようこそ』は見た目重視の非化学系向け導入本

 

 化学分野において、その構造式を見てときめくのは化学者だけである。その排他性を考慮し、一般向けに「有機化学ってどんな分野?」というのをまとめ上げたのが本書である。

 テトロドトキシンという化合物を皆さんは御存知だろうか?そう、フグ毒で有名なアイツである。その構造式をよく化学者が目にする形で表現すると以下のようになる(wikipadiaより拝借)。

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 この表現方法、化学者からすれば3次元的空間把握ができつつ化学的性質も一目瞭然という素晴らしい画像なのですが、ぶっちゃけ一般人がわかるわけないと思います。 それをなんとなーく「実際はこんな形」と示したのが以下の画像である(これまたwikipediaから拝借)。

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 このように、本書は後者の画像を使用してわかりやすくその構造を解説している。ていうか前者の画像を全く使用していません。 本書がどれだけ一般人向けかがわかるかと思います(逆に化学者としては不満)。

 正直に申し上げますとこのような3DCGを見て一般人が見てときめくかというと甚だ疑問であり、逆に化学専攻の学部生が読むにしても構造式が皆無なので消化不良になるのがオチである本書。ターゲットが不明であります。しかし一般人が化学者を見るバイアスをうまい具合に修正するという点では非常に優秀であり、また化学初心者には「へーこんな物質があるんだ!」という発見(化学界では常識)を促す最良の本であると言えます。